こんにちはゲンタです。
今日は日本ペイントの財務戦略から学んで盗んでいこうと思います。
昔から日本ペイントって注目してきたんですね。
特にM&Aについては非常に積極的な企業との印象がありました。
ということで早速いきますね。
公式資料をチェックしながら考えていきたいと思いますが、
何個かキーワードがありますね。
・M&Aによる成長(ROICがWACCを上回る案件)
・「アセット・アセンブラー」モデルに資する財務戦略
・株主還元についてはEPSの増大を通じたTSRの向上に主眼
・資本政策は、財務規律を維持しつつ、成長投資を優先的に実施し、EPSの持続的増大を通じてTSR(株主総利回り)を向上させること
・バランスシート・マネジメントとしては、キャッシュ・コンバージョン・サイク(CCC)をKPIの1つに設定
・財務レバレッジとしては、2022年末時点のネット・デット/EBITDAが3.4倍(一過性調整後)、2023年末では追加のM&Aがない前提で約2.9倍
・持続的な成長に向けたキャピタル・アロケーションの考え方
(出所:日本ペイント財務戦略資料)
正直、これらを全て詳細に触れると総花的になるので
特徴的なところを押さえていきます。
特徴はやはりM&Aです。
日本ペイントのM&A方針を勝手に解説
M&Aの方針としては、この辺りがポイントだろうと思います。
日本ペイントのM&Aの方針
・「EPSの最大化」と「PER最大化」が図れること
・ROIC(投下資本利益率)がWACC(加重平均資本コスト:約6%)を最終的に上回る
・M&A実行にあたっては、買収後の利益成長とCCCの短縮化により3~4年で、ROIC>WACCとなることを目指す
EPSの成長とPERの最大化とROIC>WACCが最終目的ですね。
これは、以前、CFO思考の解説で書いていたEPS成長率とROEが重要という話と同じです。
EPSの成長がすなわち、PERの最大化をもたらします。
なぜなら、PERはマーケットからの成長に対する期待値だからです。
おさらいになりますが、
理由は
ROEとEPS成長率が株価に直接影響するKPI
だからでした。
日本ペイントはROICといってますが、
ROICとROEの違いは有利子負債を資本に含めるかどうかの違いです。
ROIC=利益/(有利子負債+資本)
ROE=利益/資本
ということです。
ちなみに、以前チェックしたShift社のM&A戦略の方針は
財務方針と紐づけていましたが、資本関連の指標は挙げられていませんでしたね。
これはどちらというと、Shift社はまだまだ成長企業であるので
ひょっとしたら将来的な増資なども検討しているためかもしれません。
一方で、日本ペイントは成熟企業ですので、やはり資本効率を追求していくことになるのでしょう。
そして、最後にM&A後にいかに回収を進めていくのか?
という観点で、利益成長とCCCの改善とあります。
利益成長はシナジー効果の追求(購買共通化によるスケールメリット、クロスセルによる売上拡大、ノウハウの獲得、コスト削減)を行うことによって実現
CCCの改善は、どうやってやるのでしょうか。
仕入業社に対して交渉をするということしかないように思いますが、
CCCの改善により、FCFは改善し、投資回収も進むことになるため
実は、利益成長とともに重要なわけです。
実際、PEファンドは投資先のCCCの改善を図ることは
投資回収を進めていく鉄板パターンとして活用されています。
これを事業会社として実行に落とし込んでいるというわけですね。
日本ペイントの財務戦略を勝手に解説
次に、日本ペイントの財務戦略をざっと見ていきましょうか。
日本ペイントの財務戦略
・「アセット・アセンブラー」モデルに資する財務戦略
・株主還元についてはEPSの増大を通じたTSRの向上に主眼
・資本政策は、財務規律を維持しつつ、成長投資を優先的に実施し、EPSの持続的増大を通じてTSR(株主総利回り)を向上させること
・バランスシート・マネジメントとしては、キャッシュ・コンバージョン・サイク(CCC)をKPIの1つに設定
・財務レバレッジとしては、2022年末時点のネット・デット/EBITDAが3.4倍(一過性調整後)、2023年末では追加のM&Aがない前提で約2.9倍
・持続的な成長に向けたキャピタル・アロケーションの考え方
この辺りが財務戦略のポイントです。
もはや、定番であるEPS成長については割愛します。
TSR=Total Shareholder`s Returnというのが出てきます。
実はこの指標はP&Gの財務戦略のところで出てきました。
株主にとっては、配当と株価上昇によってリターンがもたらされるわけですが
それがTSRという指標になります。
よって、非常に株主目線での指標を重視していることがわかります。
そのため、P&Gと同様に株主還元をするためのキャッシュフロー=FCF
を重視していると見られ、CCCをKPIにおいています。
また、M&Aの活用も進めているため、財務規律について
ネットデット/EBITDAを重視しているとあります。
全体として、PLを重視した財務戦略となっているShift社と異なり、
BSの資本効率性や株主還元施策を重視しているように見えます。
アセットアッセンブラーモデルという言葉が何を意味しているのかは
つまり、株主価値を最大化する、事業資産に入れ替えていくよということを言っているのだろうと思います。
まとめ
まとめます。
今日は日本ペイントのM&A戦略と財務戦略を学んでいきました。
他社の戦略と重なるとことがかなりありますが、
新たな戦略もありました。
こうして複数の巧者の戦略を見ていくことで
自社の戦略に取り込んでいくべきものって自明になってくるな
というように感じますね。
今日の戦略のまとめとしてはこちらですが、
僕の学びとしては、CCCの改善というのを実際にどのようにやっているのか
について、もっと深く研究していくと我々、経理マンとして
企業価値向上に直撃できる技を持つことができるなと感じました。
この辺りを今後は研究していきたいと思います。
日本ペイントのM&Aの方針
・「EPSの最大化」と「PER最大化」が図れること
・ROIC(投下資本利益率)がWACC(加重平均資本コスト:約6%)を最終的に上回る
・M&A実行にあたっては、買収後の利益成長とCCCの短縮化により3~4年で、ROIC>WACCとなることを目指す
日本ペイントの財務戦略
・「アセット・アセンブラー」モデルに資する財務戦略
・株主還元についてはEPSの増大を通じたTSRの向上に主眼
・資本政策は、財務規律を維持しつつ、成長投資を優先的に実施し、EPSの持続的増大を通じてTSR(株主総利回り)を向上させること
・バランスシート・マネジメントとしては、キャッシュ・コンバージョン・サイク(CCC)をKPIの1つに設定
・財務レバレッジとしては、2022年末時点のネット・デット/EBITDAが3.4倍(一過性調整後)、2023年末では追加のM&Aがない前提で約2.9倍
・持続的な成長に向けたキャピタル・アロケーションの考え方
終わり
ゲンタ
こんにちはゲンタといいます。
自己紹介をします。
<昔>
・元ニート兼プータロー
・零細企業経理部で伝票を起票したり請求書を発行したりと作業仕事
・年収は300万円で、超いけてない経理マン
↓その後、改善施策を実施
<今>
・海外CFO
・従業員数千人企業の管理部門、M&A、FP&Aを統括
・年収は数千万
大きく変わることができました。
変わるポイントは作業型から思考型に仕事を変えていったことでした。
ブログのコンセプトは、 Beyond the Financeと言います。
なんだそりゃって感じですよね?
”作業地獄型の経理から脱出して、思考型経理になろう”
というのがその意味です。
思考型経理って一体なんだろう?と思っていただけたら
下記のリンクから読み進めていってください。
皆さんの人生が変わるきっかけになるかもしれません。
よろしくお願いします。
ゲンタ