こんにちはゲンタです。
今日はCFOに必要とされるスキルセットについて
網羅的にリスト化したものを提示します。
CFOを目指す人にとってのチェックリストとして使えます。
漠然とCFOになりたいなあと思っていてもなれません。
CFOに必要とされるスキルセットをなるべく最短で埋めてくために
現状のスキルセットとCFOに必要とされるスキルセットの差を確認し
差をどの様に埋めていけばいいのか考えられるだけで
他の人よりも一歩も2歩も前にいることになります。
では説明していきます。
CFOに必要なスキルセット
CFOが実際にどの様なことを要求されるのかは
企業規模や形態に応じて異なります。
ですが、
コアとなる部分は変わりません。
CFOに必要な3つのコアスキル
<CFOに必要な3つのコアスキル>
①経営企画スキル(経営戦略、IR、事業計画、業績管理、M&A)
②経理財務スキル(経理、財務、税務)
③マネジメントスキル
*(準管掌)その他管理部門スキル(人事、IT、総務、購買、販売管理)
CFOに必要とされる3つのコアスキルは
こうして並べてみるとまあそうだよなと思うはずです。
ただし会社規模によっては準管掌機能としてその他管理部門スキルも求められることがあります。
正直、こんなにCFOはハンズオンで業務を行うことはできません。
ですが、方向性を出して人を配置して責任を取ることは要求されます。
その意味では①、②、③はまさにCFOのコア業務です。
次に先ほど説明した3つのコアスキルを細分化していきます。
ぜひ自分の現状スキルと比較して何が足りていないのかチェックしてみてください。
(オリジナル)CFOスキルセットのチェックリスト
かなり大作ですが何度も読み返すかプリントアウトするなどして
ぜひ我々自身のスキルのチェックと検証を行っていきましょう。
どうすれば早くスキルを獲得することができるのかを考えるきっかけになります。
なお、重要性はあくまでもCFOの立場で重要なスキルに印をつけています。
大区分 | 中区分 | 説明 | 重要性 | チェック |
改善策 |
①経営企画スキル | 経営戦略と中期計画策定 | ・外部環境、内部環境に応じて会社全体の経営方針と事業ポートフォリオの見直し ・経営方針を中期計画に落とし込み、数値面、KPIの設定 *fp&a業務に含まれる |
◎ | □ | |
事業計画策定 | ・中期計画と外部環境に基づき、単年度の事業計画の策定 ・数値及び必要となるアクションプランを策定、KPIの設定 *fp&a業務に含まれる |
◎ | □ | ||
着地見込み管理 | ・事業計画の進捗状況を月次でモニタリングする。 ・数値だけでなく期初に策定したアクションプランの進捗状況とKPIのモニタリングを行い ・必要となるアクションプランの修正を行い計画達成に向けて方向づけを行う *経営企画室、fp&a業務に含まれる |
◎ | □ | ||
実績管理・分析 | ・月報の作成 ・チャネル別商品ラインナップ別の損益管理 ・業績結果と見込みとの差異分析を行い、必要であれば部門へのフォローアップ。 ・外部環境が業績に与える影響を分析し計画達成に向けたアクションプランの修正と外部開示方法との関係性を整理する *fp&a業務に含まれる |
◎ | □ | ||
M&A、アライアンス検討と推進 | ・M&A案件発掘、交渉、バリュエーション、SPA、DD、クロージング ・中期計画達成に向けて成長を加速させるためのM&Aやアライアンス案件を洗い出し、交渉、推進を行う |
◎ | □ | ||
企業価値評価 | ・企業のアクションプランが最終的に株価や企業価値にどの様に影響しているのか分析を行い、必要となるアクションプランを立案する。 ・事業面のみならず、財務戦略面、人事面、IT面などにも及ぶ。最終的にIR上、どの様に投資家とコミュニケーションするかの戦略につなげる |
◎ | □ | ||
IR | ・投資家とのコミュニケーション ・アナリストとのコミュニケーション ・株主総会対応 ・決算発表説明会 ・アニュアルレポート ・IR戦略の立案(アナリスト、投資家の分析を適切にリード) |
◎ | □ | ||
②経理財務スキル(財務パート) | 資本政策策定 | ・最適資本構成の検討 ・資本調達方法の検討(デッド、エクイティ) ・資本と負債のバランスの検討により資本コストの引き下げ ・配当政策、自己株式取得の検討 ・資金の置き方と経営戦略との連動 ・ROE改善施策の検討 ・FCF改善施策の検討 |
◎ | □ | |
資金調達(デッド、エクイティ) | ・最適資本構成と資金予測を踏まえた資金調達の実施(社債、借入、増資、減資) ・補助金の活用、プロジェクトファイナンス、ファクタリング、CP発行、LBO、VC含む |
◎ | □ | ||
資本コスト(WACC)の引き下げ | ・借入と資本と格付けのバランスを踏まえた資本コストの引き下げによる企業価値向上 | ◎ | □ | ||
投資効果の算定(DCF,NPV、IRR、Payback Period) | ・投資案件(設備投資、事業投資など)における投資効果のモニタリングと設定方法の決定(割引率、計算方法などのサポート)*投資実行後のモニタリング含む | ◎ | □ | ||
EBITDA管理 | ・EBITDA管理による株価への影響をモニタリング | ○ | □ | ||
APとAR管理 | ・長期滞留AR、APへの適切な対応、エイジングのモニタリング ・ARの信用リスク管理 ・AR削減によるFCFの改善 ・不良債権管理、削減 |
□ | |||
金融機関折衝 | ・銀行、投資銀行、証券会社、VCとのコミュニケーションによる最新金融情報の取得、良い金融取引条件の獲得 | ○ | □ | ||
格付け対応 | ・社債の格付けのレーティングを適切に保つ | ○ | □ | ||
自社株買い | ・株価、資金状況をモニタリングし自社株買い実施を立案、実行 | ○ | □ | ||
配当政策策定 | ・資金状況、競合、投資家とのコミュニケーションを踏まえた配当政策の策定、実行 | ○ | □ | ||
遊休資産の売却処分 | ・遊休資産売却による余剰資金の改善、FCFの改善 | ○ | □ | ||
為替コストの引き下げ | ・金融機関折衝による為替両替コストの削減、送金手数料の削減 ・為替ヘッジ、ヘッジ会計適用 |
□ | |||
資金繰り表の作成 | ・資金予測と資金フローの実績を管理し、資金不足がないか資金の余剰がないかをモニタリングし必要な場所に資金を置く | □ | |||
キャッシュフロー計算書の作成 | ・間接法による実績CFの作成 | □ | |||
余剰資金の運用 | ・余剰資金を適切なリスクとレーティングによる資産で運用する(社内の規定に準ずる) | □ | |||
グループCMS、ネッティング | ・グループCMSを活用して効率的な資金オペレーションを実現する | □ | |||
M&A資金調達 | ・M&Aにおける資金調達の実施 | ○ | □ | ||
請求書発行 | ・同左 | □ | |||
領収書発行 | ・同左 | □ | |||
支払依頼書 | ・同左 | □ | |||
現金出納帳作成 | ・同左 | □ | |||
ファームバンキング・オペレーション | ・同左 | □ | |||
立替経費精算 | ・同左 | □ | |||
旅費精算 | ・同左 | □ | |||
仮払処理 | ・同左 | □ | |||
②経理財務スキル(財務パート) | 月次決算、スケジュール管理 | ・月次決算のスケジュール策定のうえ(10日以内に発行)、各部門に通知し、各部門から必要な資料がこない場合はフォローアップし期限内に月次決算を完了する | ○ | □ | |
年次決算、スケジュール管理 | ・監査人とのコミュニケーション含む ・会社法決算の期限内完了 ・科目別内訳表の作成 |
◎ | □ | ||
連結決算、スケジュール管理 | ・監査人とのコミュニケーション含む ・グループ会社経理担当者とのコミュニケーション含む |
◎ | □ | ||
会計論点への対応 | ・減損会計、退職給付会計、税効果会計、企業結合会計などの難論点の対応、監査法人との折衝 | ◎ | □ | ||
IFRS決算 | ・IFRSベースの連結決算の実施 | □ | |||
経過勘定の管理 | ・引当金管理、前払金、前払い費用管理 | □ | |||
実地棚卸し | ・棚卸資産、固定資産の実地棚卸しと会計処理 | □ | |||
在庫評価計算 | ・(通常は)移動平均法による算定 ・NRV, Slow moving adjustment |
□ | |||
固定資産管理 | ・同左 | □ | |||
科目内訳管理 | ・同左 | □ | |||
原価計算 | ・同左 | □ | |||
棚卸資産管理 | ・在庫移動表の作成、仕入れコスト管理含む | □ | |||
会計監査対応 | ・監査キックオフ、中間監査、期末監査、論点詰め交渉 | ◎ | □ | ||
監査報酬交渉 | ・監査人との年度報酬改定の適切な交渉 | □ | |||
開示書類作成 | ・有報、会社法決算、決算短信、IR資料 | ◎ | □ | ||
フォーキャスト作成サポート | ・連結影響など | □ | |||
決算レポート作成 | ・決算承認取締役会向け ・決算分析(増減分析など) |
□ | |||
BPO、BPR、SS | ・BPO,BPR,SSによる経理組織の高度化 | ◎ | □ | ||
財務リスク管理 | ・財務リスクのリスト化と適切な処理 | ◎ | □ | ||
事業再編・M&A対応 | ・財務DD、連結インパクト試算、リスク対応 | □ | |||
②経理財務スキル(税務パート) | 申告・納付 | ・法人税、消費税、事業税、都民税、住民税、源泉所得税、固定資産税 | ◎ | □ | |
移転価格 | ・移転価格文書化、移転価格管理 | ◎ | □ | ||
税務調査対応 | ・同左 | □ | |||
国際税務対応 | ・外国源泉税、海外税務問題対応等 | □ | |||
税務コスト削減 | ・税務コスト削減立案・実行 | ◎ | □ | ||
フォーキャスト作成 | ・税金コストのフォーキャスト作成 | □ | |||
組織再編対応 | ・組織再編におけるストラクチャー検討への税務面からの貢献 | ◎ | □ | ||
M&A対応 | ・税務DD、ストラクチャー立案への参画 | ◎ | □ | ||
②経理財務スキル(システムパート) | ERP計画 | ・SAP、Oracle、MF等 | ○ | □ | |
開示システム | ・プロネクサス、宝印刷 | □ | |||
連結システム | ・導入による正確性の向上、効率化 | □ | |||
RPA | ・導入による正確性の向上、効率化 | □ | |||
ワークフローシステム | ・経費精算などは特に効率化インパクトが大きい | □ | |||
OCR活用 | ・導入による正確性の向上、効率化 | □ | |||
API活用 | ・導入による正確性の向上、効率化 | □ | |||
BIシステム活用 | ・導入による正確性の向上、効率化、高度化 | □ | |||
エクセルスキル | ・関数、Pivot、クエリ | □ | |||
税務申告システム | ・導入による正確性の向上、効率化、高度化 | □ | |||
③マネジメントスキル | リーダーシップ | ・ビジョンと実現方法を説明し納得感を部下に与える ・自分の考えを相手に説明し協力をえたり、交渉で合意を引き出す ・方向性を部下に伝え、仕事を任せてフォローすることで期待した結果を引き出す ・部下の成長のため見本となる姿、働き方を見せる |
◎ | □ | |
対人関係・環境適応 | ・良い人間関係を上司、部下、関係部門と保つ ・上司の指導、指示内容を踏まえて積極的な提案を示し実現する ・他人の意見を聞き入れて積極的な内容にする |
◎ | □ | ||
問題解決 | ・さまざまな問題の関係性を整理して根本原因を的確に把握し、課題解決に向けた施策の立案を優先順位づけした上でストーリーを整理して解決を実現する | ◎ | □ | ||
自己管理・目標達成 | ・組織のルールに沿って働く ・自分の与えられた役割やゴールを優先順位をつけて期限内にリソースをマネージして落とし込む |
◎ | □ | ||
*その他管理業務(人事) | 組織設計 | ・新規部門の設置による会社組織の強靱化 ・既存部門の統廃合による会社組織の強靱化、コスト削減、効率化 |
○ | □ | |
人事制度構築・運用 | ・給与テーブル、福利厚生制度などの設計 ・ルールに基づいた適切な運用 ・昇給、昇格、降格の機関決定 |
○ | □ | ||
労務管理 | ・勤怠管理 | □ | |||
退職金、年金 | ・退職金、年金制度の設計と運用 | □ | |||
採用 | ・採用部門からの依頼受領と真の要件をヒアリング、募集(エージェント活用含む)、面談の設定、採用交渉、チェック、契約手続き、オンボード対応 | □ | |||
退職 | ・適切な退職手続きのサポート | □ | |||
人事揉め事対応 | ・給与交渉、退職交渉、訴訟対応など | ○ | □ | ||
*その他管理業務(システム) | ERP管理 | ・保守、および導入計画、導入、入れ替え計画、サポート対応計画、コスト管理含む | ○ | □ | |
サーバー管理 | ・バックアップ、BCP計画含む | ○ | □ | ||
PC管理 | ・資産管理、リスト化、ステータス、バージョン管理 | □ | |||
セキュリティ対応、ネットワーク | ・ログ管理、アクセス権限設定、セキュリティレベルの向上とコスト管理の適切なバランス保持 | ○ | □ | ||
人事システム | ・保守、および導入計画、導入、入れ替え計画、サポート対応計画、コスト管理含む | □ | |||
コミュニケーション | ・各種チャットツール、イントラ管理など | □ | |||
*その他管理業務(総務) | 株主総会対応 | ・同左 | ○ | □ | |
庶務 | ・同左 | □ | |||
消耗品管理 | ・同左 | □ | |||
オフィス設備 | ・同左 | □ | |||
役所対応 | ・同左 | □ | |||
消防・安全面対応 | ・同左 | □ | |||
規定管理 | ・同左 | □ | |||
契約書管理 | ・同左 | □ | |||
その他 | 外国語スキル | ・英語、中国語、スペイン語など | ○ | □ | |
(使用方法)CFOに必要なスキルセット表
結構なボリュームでCFOの業務が
いかに多くのスキルセットを求められるのかが
よくわかったかと思います。
ここではどのように使っていけば良いのかを解説します。
CFOになるために全てのスキルセットを事前に保有しないといけいないのか?
全部を事前に備えた人など間違いなくいません。
ただ人を使ってこれらのスキルセットを
カバーしていくマネジメントスキルは
非常に重要なスキルです。
やったことがないけど人を使ってならできるのであれば
CFOとして成り立つとも言えるからです。
ただ僕はCFOになるのであれば最悪自分で全部できるぜ
という自信が必要だと思っております。
CFOに必要なスキルセット表の使い方
最後にこのスキルセットの使い方を示しておきたいと思います。
<CFOに必要なスキルセットの使い方>
①エクセルにコピペかプリントアウト
②チェックボックスに獲得したスキルかどうかをチェック
③チェックボックスにチェックが入っていないスキルをどの様に埋めていくのかを改善ボックスに記入
*上記を繰り返していく
ちなみに経理財務のスキルマップは下記で説明しています。
ゲンタ
こんにちはゲンタといいます。
自己紹介をします。
<昔>
・元ニート兼プータロー
・零細企業経理部で伝票を起票したり請求書を発行したりと作業仕事
・年収は300万円で、超いけてない経理マン
↓その後、改善施策を実施
<今>
・海外CFO
・従業員数千人企業の管理部門、M&A、FP&Aを統括
・年収は数千万
大きく変わることができました。
変わるポイントは作業型から思考型に仕事を変えていったことでした。
ブログのコンセプトは、 Beyond the Financeと言います。
なんだそりゃって感じですよね?
”作業地獄型の経理から脱出して、思考型経理になろう”
というのがその意味です。
思考型経理って一体なんだろう?と思っていただけたら
下記のリンクから読み進めていってください。
皆さんの人生が変わるきっかけになるかもしれません。
よろしくお願いします。
ゲンタ