経理財務実務

設備投資の投資回収計算の具体的な方法

こんにちはゲンタです。

 

今日は非常にテクニカルな話です。

設備投資の際に投資回収計算を算出して

社内の中で承認をとる必要がありますよね。

 

これの具体的な方法についてシンプルに説明します。

財務専門家として投資回収計算は深く理解していなければなりません。

投資回収計算を何のためにやるのか?

当たり前ですが、

投資金額に対して投資金額以上のリターンがあるか?

を確認するためにやるわけです。

 

例えば、10億円の設備投資に対して投資した場合としなかった場合で

10億円以上の利益差が出るか?ということです。

 

この投資回収計算方法についてはファイナンスの観点から

いくつかの方法があります。

これを知っておくことで財務の専門家とみられるか

みられないかが変わってきます。

当たり前のように知っておくべきことです。

投資回収計算方法の種類

全部で四つあります。

回収期間法(Pay Back Period法)

正味現在価値法(NPV法)

内部利益率法(IRR法)

投下資本利益率法

となります。

財務の専門家として理解すべきレベル

それぞれ特徴がありますが、

財務の専門家としては特徴を理解した上で

どのように計算するかもぱっと頭に浮べられるようになる必要があります。

 

なぜなら、今時、この計算方法は財務だけではなく

他部署の方々もできるようになっているからです。

それは計算の雛形が出回っているからです。

 

ですが、

雛形に沿ってやっているからなんとなくできていますが、

意外と本質をわかっていなかったりする結果、

正しく計算できていなかったり、

意味がわかっていなかったり、

実はやり方がわからなかったりして

財務に相談にきたりするものです。

 

相談に来られたときに

バチーンと答えられると

非常に信頼感が上がります。

 

そして各部署で計算しなくてはならないが

財務の専門性が求められる領域でもあるので

レバレッジ効果が高いのでぜひ深く理解しておくと良いです。

 

では具体的に設備投資の回収計算方法を説明しますね。

まずはPL計画を二つ作成する

何はともあれ、PLを二つ作ります。

・投資した場合のPL

・投資しなかった場合のPL

の二つです。

これは各事業部がいろんな前提条件を置いて作成できるはずです。

売上、売上原価、販売管理費用、営業利益までですね。

この営業利益が当たり前ですが、

投資した場合の利益の方が投資しなかった場合によりも上回るはずです。

次にPLからFCFフリーキャッシュフローを作成する

PLから二つのフリーキャッシュフローを計算します。

フリーキャッシュフローの計算方法はざっくりと次の通りです。

営業利益+償却費+ー運転資本増減ー法人税+ー投資=FCF

 

このうち運転資本がわかりにくいと思うので

簡単に説明すると、

運転資本=債権増減額(増加の場合CFへマイナス)+在庫増減額(増加の場合CFへマイナス)+債務増減額(増加の場合CFへプラス)

となります。

 

債権と在庫が増加するとキャッシュは利益に対して減る調整を行います。

債務が増加するとキャッシュは利益に対して増える調整を行います。

 

これはキャッシュフロー計算の間接法と同じ計算方法であり、

同じ理屈です。

 

次にいよいよ経済性評価を行うための四つの計算方法をかましていきます。

回収期間法

回収期間(年数)=設備投資した場合としなかった場合のFCFが累積で何年でプラスに転じるか?

というだけです。

例えば、10億円の設備投資を行ったとします。

1年目 △9億円

2年目 +2億円(累積△7億円)

3年目 +3億円(累積△4億円)

4年目 +5億円(累積+1億円)

 

年場合、4年が回収期間法における回収期間となるわけです。

FCFが理解できていれば簡単ですね。

 

回収期間法のメリットはわかりやすい、簡単ということでありまして、

まずは一般的にこの方法で計算します。

ただし、デメリットとして時間価値を考慮に入れていない点です。

なので、次に時間価値を考慮した計算方法を行っていくわけです。

その前に投下資本利益率法を補足的に説明しておきます。

(補足)投下資本利益率法

投下資本利益率(ROI)=利益増加額÷(設備投資額+増加運転資金)

となります。

これの意味はあくまでもROIが何%なのかというだけなので

あまり意味がありません。

ああ、こんなもんかという程度で大丈夫ですし、

普段、私はあまり使いません。

正味現在価値法 NPV法

これは大事です。

先ほどの回収期間法で計算したときのデメリットの時間価値を考慮に入れた方法になりますので、意思決定の結論となります。

ざっくりいくと、設備投資をしなかった場合は

投資家は利子を稼げるので、利子影響を加味した計算とするだけです。

各年度のPV(現在価値)の計算方法は次の通りです。

PV(現在価値)=将来CF/ (1+割引率)n年

例えば、先ほどの数字を使って深堀りしてみます。

 

10億円の設備投資、割引率10%とした場合

1年目 △9億円 (PV△8.2億円)*PV=9/110%

2年目 +2億円(累積△7億円)(PV+1.6億円)*PV=2/110%/110%

3年目 +3億円(累積△4億円)(PV+3億円)*PV=3/110%/110%/110%

4年目 +5億円(累積+1億円)(PV+3.4億円)(累積NPV△0.2億円)*PV=5/110%/110%/110%/110%

5年目 +6億円(累積+7億円)(PV+3.7億円)(累積NPV+3.5億円)*PV=6/110%/110%/110%/110%/110%

 

となります。

ちょっとややこしくなりましたが、

逆にいうとこれだけです。

で、結論がポイントです。

先ほどの回収期間法では4年で回収でしたが、

NPV方では5年で回収となります。

これが利子の影響なわけです。

 

きちんと資本コストというものも考慮して

投資回収可能か?という観点で精査しているわけです。

 

結論、NPVがプラスなら基本的には経済価値計算上は投資GOとなります。

 

ここで難しいのは、割引率の10%がどこからきたのか?

とこの考え方です。

これはWACCの計算というものがあり、別途記事で説明する予定です。

内部利益率法 IRR法

おそらくIRRが一番概念を理解しにくいと思います。

が、基本的にはこういうことです。

PV=将来CF/ (1+割引率)n年
NPV=PV-設備投資額

「NPV」が0になるときの利率・割引率=IRRとなります。

なので、

IRR>ハードルレート(=割引率)なら投資GOとなります。

 

IRRの計算方法は上記の計算方法で行うわけです。

言ってみれば、本件設備投資にかかる利回り計算をしているのと同じです。

まとめ

以上ですが、

まとめると、財務専門家として投資回収計算をPLから作成できるようになるのは

非常に重要ですし、基礎的スキルとなります。

そして大事なのは意味合いを理解しつつ、

事業部から上がってくるPLを精査して指摘できることも必要です。

また、事業部がFCF計算、NPV、IRR計算を行う際にサポートできることで

非常に信頼されますし、感謝されます。

ぜひ、このスキルをしっかりと身に付けてもらいたいと思います。

ゲンタ

こんにちはゲンタといいます。

自己紹介をします。

<昔>
・元ニート兼プータロー
・零細企業経理部で伝票を起票したり請求書を発行したりと作業仕事
・年収は300万円で、超いけてない経理マン

↓その後、改善施策を実施

<今>
・海外CFO
・従業員数千人企業の管理部門、M&A、FP&Aを統括
・年収は数千万

大きく変わることができました。
変わるポイントは作業型から思考型に仕事を変えていったことでした。

ブログのコンセプトは、 Beyond the Financeと言います。

なんだそりゃって感じですよね?

”作業地獄型の経理から脱出して、思考型経理になろう”
というのがその意味です。

思考型経理って一体なんだろう?と思っていただけたら
下記のリンクから読み進めていってください。

皆さんの人生が変わるきっかけになるかもしれません。

よろしくお願いします。

このブログの目的~Beyond the Financeはじめに こんにちはゲンタです。 僕は大学時代にさぼってしまい大学卒業後も就職もせずにぷらぷらとニートになりました。 その後、...

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