CFO

【CFO有名人伝】CFO学校の校長先生 ゲーリーウィルソン Gary L Wilson

こんにちはゲンタです。

最強のCFO
この人しかいないでしょう。

Gary.L.Wilsonです。

現在の
スーパーCFOと呼ばれる人達の源流であり師匠
と言えます。

つまり
経理屋さんから戦略家へ
ファイナンスのポジショニングを
変えたのがこの人です。

ゲーリーウィルソンは
こんなこと言ってます。


CFOはマーケターと同様に創造性によって付加価値を生む

僕はファイナンスの領域で
創造性のある仕事をしてるなあ
って思った人を
見たことありません。

なぜか?

それは、

ファイナンスは正直
お勉強的な仕事やっているだけでも
形になってしまう
分野であるからです。

実際、僕もそうでした。

決算やってれば給料はもらえる
税務申告すれば給料はもらえる
といった感じです。

法務の分野も非常に似ています。

専門性やスキルや知識が重視される分野です。

逆に言えば
創造性を発揮すべき
領域ががら空きの
可能性が高い
ということです。

その意味で
ブルーオーシャン
過ぎます。

だって
みんなやる必要ないと
思っているから

やる必要ないと
思っている人たちの中で
創造性をたらして
仕事をしてみたら

そりゃあ
スーパーブルーオーシャン
ですよね。

僕はゲーリーウィルソンは
マーケティングを
割と本格的に勉強
したんじゃないかな

と思います。

マーケティングの領域は
かなり創造性を要する領域であり
そのような思考を
要求するように
なっています。

財務も本当は
創造性を要求される
のですが
やってないんだけなんです

実際にウィルソンは
財務の専門知識を
ベースに創造性を発揮して、
企業価値を爆発的に増加させることに
何度も成功しています。

ウィルソンの略歴を見ることは
将来、CFOになりたい人や
経理で行き詰まりを感じている人には
めちゃくちゃ参考になるはずです。

ゲーリーウィルソンの経歴

というわけで、
ウィルソンの略歴を見てまいりましょう。

と、その前に写真です。

なかなか、渋い感じで素直にかっこいいっすね。

Gary Wilsonの経歴まとめ

最初に略歴をまとめます。

<Gary Wilson経歴まとめ>

  1. 1963年にペンシルバニア大学MBA
  2. 1963年にフィリピンのTrans-Philippine’s Investment社に入社し、早速CFOとして財務管理から経営企画などを11年経験
  3. 1974年にアジアからアメリカに戻ってきてマリオットホテルに財務・経営企画担当として入社
  4. 1985年にウォルトディズニーのCFOに就任
  5. ノースウェスト航空のLBOに参加してオーナーになる

ペンシルバニア大学MBA卒なのにアジア系の中小企業に入社

1963年にペンシルバニア大学MBA卒した後に、
フィリピンのTrans-Philippine’s Investment社に入社この会社では早速CFOとして財務管理から経営企画などを11年経験しました。

この会社は砂糖の会社なんですが米国でのトップスクールでMBAをとった後に
なぜかフィリピンの砂糖会社に入ってしまう。

このあたりから普通じゃないなという感じがしますね。
(実際、ウィルソンはアジアで働いていたようです)

ゲーリーウィルソンはこの砂糖会社在籍中から
異彩を放った業績を上げています。

メイン事業である砂糖の精製工場や
セメント工場やジュート工場を売却してしまい
AG&Pというアジアで最も大きい建設会社の買収を行いました。

ただのフィリピンの小さい砂糖会社から
一気にアジアNo1の建設会社に
会社の業態を変えてしまいました。

この時に使ったファイナンスのテクニックが
レバレッジバイアウト(LBO)という手法です。

PEファンドが得意とする手法です。

買収した会社の資産と将来キャッシュフローを担保に
買収資金を賄い、将来返済していくという仕組みを
使って買収するという方法です。

ソフトバンクがボーダーフォンを買収した時も
同じ手法を使って小さいソフトバンクが
その何倍もでかいボーダーフォンを買収しましたね。

このLBOっていうのは
CFOが派手に価値を生み出す手法として効果的なので
密かに僕もどこかで一回使ってみたいと思ってます。

https://beyondthefinance.com/?p=3175

https://beyondthefinance.com/?p=3192

1974年にマリオットに入社

1974年にアジアからアメリカに戻ってきて
マリオットホテルに財務・経営企画担当として入社しました。

当時、マリオットホテルは中堅企業であり
時価総額は2億ドル程度でした。
(つまり今のレートで換算したら250億円くらいですね)

ウィルソンはこのマリオットホテルで
華々しい成果をあげまくりました。

またマリオットでファイナンスの部下達が
次々とスーパーCFOとして旅立っていったのです。

マリオットでやったことは事例として
非常に興味深く後ほど説明します。

1985年にウォルトディズニーのCFOに就任

そして最後に弟子の推薦によって
1985年にウォルトディズニーにCFOとして移籍しました。

ここでも色々と創造性を発揮した業績を残しています。

ディズニー在籍中はディズニーのブランドエクイティを最大限活用して
パーク事業だけでなく、主にホテル事業や映画事業を成長させました。

最後はノースウェスト航空のオーナーに

ディズニーのCFOを教え子のステファンボーレンバックに指名した後には
ノースウェスト航空のLBOに参画してついにはオーナーになりました。

以上のように
ウィルソンは少し変わった経歴であり
ある意味でCFOという職業が企業価値に大きく影響を与えることができることを
証明した第一人者であります。

またウィルソンの部下が次々と他会社のCFOやCEOに育っていったことからも
CFO学校の校長と言われる所以です。

次はなぜこのような経歴を辿ったのか?
業績の事例などを見ながら我々の仕事に活かせないか?
考えていきたいと思います。

(考察)MBA卒なのにフィリピンの小さい会社に入った理由

ウィルソンはペンシルバニアMBA卒という
わかりやすいファイナンスエリートの道をいきながら
フィリピンの小さい企業に入ったのでしょうか?

ウィルソンはこう言っています。

小さい会社だと早くに全体感がわかり、より戦略的な仕事にかかわれる

これ、僕もわかります。

でかい会社に入るとひたすら送金やら
APARの消し込みばかりやらされたりしますが、

ちっこい会社はそれもやりながら
資金繰り予算管理、コスト削減やらなんでもやらされます。

結果、全体像を見失わずに済む
とゆうわけです。

全体像がわかると、
自由な精神が湧いて
きます。

で、創造性を発揮できる
というわけです。

では、どんなことをやったのかをみてみましょう。

ファイナンスが創造性を発揮して
価値を生み出した事例となります。

(事例)マリオットでの資産切り離しスキーム実行

ゲーリーウィルソンは部下のアルチェッキと一緒に
資産を切り離してオペレーションと保有を分ける戦略を打ち出しました。

ホテルの不動産を売却してしまい、
マリオットホテルのコア事業を
ホテルのオペレーションとブランドに
絞ったということです。

資産切り離しスキーム

ホテル事業というのは
不動産保有とホテル運営から成り立つと考えられます。

不動産保有部分のビジネスから離れるために
不動産オーナーを募り不動産を売却したわけです。

マリオットが持つ一番の強みであるホテル経営という
独自資産を徹底活用する戦略をとったわけです。

資産切り離しスキームのメリット


資金的な制約がなくなり、

次々と競争力のあるホテルを
ライバルを置き去りにして
新規出店できることとなった。

さらに資本が軽くなるため
間違いなくROEも上がったでしょう。

このスキームを実施するにあたり
さらにオーナー側のメリットまでも創出しています。

その時の資金調達時に活用したのが
Limited partnershipという手法です。

LPは税制面で優遇されるため
投資家が集まりやすかった。

このLimited partnershipで何がメリットなのか?
について少し考えてみたいと思います。

LPを活用した税メリット創出の仕組み

例えば、10億円もっている投資家10人から出資を受けて
100億円でホテルを建設する。

そのホテル経営をマリオットが受託する。

 LPはパススルー課税という方式であるので
(ホテル売上かかった経費マリオットへ管理コスト)×1-税率)=投資家10人の取り分となるのが、LP方式である。

 

通常(マリオットへの株式出資)であれば
マリオットの純利益×配当性向=配当金となり
実質的な手取りはへります。

さらに配当の場合は追加の所得税もかかるため、

配当金×1-所得税)=取り分

という形になる。

株式投資の場合の取り分は
LP方式に比べてめちゃくちゃ少なくなります。

(考察)事例からみるCFOが創造性を発揮する方法 

このようにみていくと
ファイナンスが正に

儲けの仕組み作りに加担している

ことがわかりますよね。

ファイナンスの知識を使い、
マーケティングしている実例だと感じました。

強みをホテル経営ノウハウに絞りこみ
不動産を売却するというのは
完全にマーケティングの発想です。

 

そこにLP方式での資金調達というファイナンスの専門知識を活かして
この戦略を具現化したわけです。

 

こんな感じでマリオットの事業をどんどん成長させていき
1978年入社時の時価総額が2億ドルだったのが
1987年には時価総額が36
億ドルとなりました。
 

フィリピン時代、マリオット時代をみてもわかる通り、

「他人の金を使い、カネを稼ぐ」

これがウィルソンの得意技だったようです。

ウィルソンの下では多くの優秀な部下が育った

彼のマリオットホテル時代の部下には
注目すべきCFOが多く育ちました。

今後この教え子たちの動向も見ていきたいと思いますので、
バーッと漏れなくピックアップしてみます。

ゲリーテグッズマン
シックストオローザ3
デニスBブロック
アルフレッドチェッキ(ノースウェスト航空会長)
ルイスピラネーバ
ダンカンコクロフト(スミスクラインベックマン)
トーマスカレン(マリオットホテル)
ダニエルダニエロ(カーライル)
ピータースターリング(バスブラザーズ)
ジョンダスバーグ(マリオットホテル)
ローレンマーフィー(ディズニー)
ステファンボーレンバック(ヒルトン)
ネイルマッカーシー(ディズニー)
ステファンノリス(カーライル)

こんな風に超有名な企業でエグゼクティブになった部下を輩出しています。

これがウィルソンがCFO学校の校長と言われる所以です。

そして彼はこんなことを言っています。

「マーケティングとオペレーションと同様にファイナンスも重視すべきである。

この3つのバランスをとっていくことがGreat companyになる重要なポイントだ」

「私は財務の専門知識をバックグラウンドに持ったビジネス戦略家だ」

ということを言っています。

このビジネス戦略というのは
マーケティングを勉強するとわかるのですが
つまりマーケティングです。

つまり彼はファイナンス専門知識をベースにして
マーケティングを勉強しまくって使い倒したと推測します。

まとめ

まとめます。

まずは素晴らしい経歴から整理します。

<Gary Wilson経歴まとめ>

  1. 1963年にペンシルバニア大学MBA
  2. 1963年にフィリピンのTrans-Philippine’s Investment社に入社し、早速CFOとして財務管理から経営企画などを11年経験
  3. 1974年にアジアからアメリカに戻ってきてマリオットホテルに財務・経営企画担当として入社
  4. 1985年にウォルトディズニーのCFOに就任
  5. ノースウェスト航空のLBOに参加してオーナーになる

次にウィルソンの残した格言をまとめます。

<ウィルソンの格言>


「マーケティングとオペレーションと同様にファイナンスも重視すべきである。 
この3つのバランスをとっていくことがGreat companyになる重要なポイントだ」

「私は財務の専門知識をバックグラウンドに持ったビジネス戦略家だ」

「他人の金を使い、カネを稼ぐ」

「小さい会社だと早くに全体感がわかり、より戦略的な仕事にかかわれる」

そして、最後にウィルソンの経歴や仕事内容から
どう生かしていくべきかをまとめます。

  1. ファイナンスもマーケティング同様に創造性によって価値を生む
  2. 創造性はファイナンスの専門知識と自由な発想から生まれる
  3. 中小企業では全体感が得られるため自由な発想が得られる
  4. ファイナンスもマーケティングを学ぶことで発想を得られる

実際に行動していくことで
面白い仕事はファイナンスでもできるということを
証明してくれたかっこいい先輩がいることは心強いですね。

ゲンタ

こんにちはゲンタといいます。

自己紹介をします。

<昔>
・元ニート兼プータロー
・零細企業経理部で伝票を起票したり請求書を発行したりと作業仕事
・年収は300万円で、超いけてない経理マン

↓その後、改善施策を実施

<今>
・海外CFO
・従業員数千人企業の管理部門、M&A、FP&Aを統括
・年収は数千万

大きく変わることができました。
変わるポイントは作業型から思考型に仕事を変えていったことでした。

ブログのコンセプトは、 Beyond the Financeと言います。

なんだそりゃって感じですよね?

”作業地獄型の経理から脱出して、思考型経理になろう”
というのがその意味です。

思考型経理って一体なんだろう?と思っていただけたら
下記のリンクから読み進めていってください。

皆さんの人生が変わるきっかけになるかもしれません。

よろしくお願いします。

https://beyondthefinance.com/?p=440

ゲンタ